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木造の家

蒼生舎の木造住宅についてのページです。木造在来工法(軸組工法)の住宅新築についての一般的な話と、蒼生舎の考えや設計事例を交えたかたちで説明しています。
木造の工法は時代と共に変化していますし、人によって色々な考え方があります。以下はあくまで蒼生舎の考えや事例であり、他の工法や仕様を否定するものではありません。

愛知県の木造住宅

1.伝統工法への憧憬

蒼生舎の木造デザインは、下記のような伝統工法の美しさや豊かさへのあこがれがベースにあると思っています。

モダニズム建築の思想と重なる部分もありますが、やはり日本で独自にはぐくまれてきた美意識だと思います。グローバル化と共にデザインも均一に向かう今、改めてそのオリジナリティと文化の豊かさを貴重に感じています。
ところが見慣れたありふれたものだと思っているうちに、徐々に見かけなくなってきました。伝統工法の様式をそのまま継承することは今の暮らしにはそぐわないですし、敷地条件や費用の面でも適応しにくいことが多いと思います。
それでも、その精神性と美意識をきちんと引き継ぎ、伝えていくことで、長い歳月をかけて築いてきた貴重な何かを、できるだけ失わないようにしたいと思います。

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2.在来工法

木の柱と梁で支える日本の伝統工法に、耐震のための筋交・補強金物・構造用面材(合板)・コンクリート基礎などを融合させたものが木造在来工法です。
伝統工法は構造材と造作材の区別があいまいで、多くの部材が少しずつ力を出し合って支えています。「総持ち」とも言われ、構造の検証がとても難しく(加震実験で結果は出せても、その根拠の解析が難しい)、新築ではほとんどつくられていません。蒼生舎では在来工法を採用しています。
どの施工会社でも対応できる最も一般的な工法で、設計の自由度が高いのも特徴です。

在来工法には多くのアレンジが加えられ、伝統工法に近いもの、ツーバイフォー工法に近いもの、省力化や合理化を追求したものなど、多種多様でかなりの幅があります。蒼生舎では伝統工法から大きく離れたくないので、あまりアレンジを加えていないタイプの在来工法をベースにしながら、屋根組と床組の方法をアレンジすることでデザインの自由度を得ています。

伝統工法的デザインの木造住宅

↑ 伝統工法のデザインを取り入れた住宅の設計例です。太い通し柱や差鴨居など伝統工法の構造要素はありますが、あくまで在来工法として構造の検討をしています。窓面の耐力壁にはステンレスブレースを使って、壁のない全開口を実現しています。家具を簡易間仕切りにしたフレキシブルな室内構成も、伝統工法の住宅に通ずるものがあります。

作業場の屋根架構

↑ 作業場の設計例です。機能や平面計画は単純な方が、架構を活かしたデザインには向いています。
異なる高さの屋根のすき間から、安定した北窓の自然光を採り、木造では長めの5mスパンを支える登り梁を、方杖と火打ち金物で補強しています。内壁は構造用合板で、構造部材(耐力壁)・仕上・工具棚を取付ける下地の3つを兼ねています。
コストダウンのため機能上必要な最小限のものだけで構成していますが、北窓の柔らかな光を浴びた架構はそれだけでも十分美しく見えます。

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3.風土に適応した住宅

恵まれた敷地条件の場合は、環境に素直に向き合った住宅を提案することが多いです。木造住宅を日本の気候に適応するように設計していくと、伝統工法のデザインに近寄っていきます。考えてみると当たり前の話かもしれませんが、歳月と風土がつくってきた必然のデザインなのだと思います。
軒の深い切妻屋根は、雨や湿気の多い日本では最も自然な形です。深い庇は外壁や建具を雨から守り、夏の強い日差しを遮ります。庇があれば窓を開けやすく、換気をして湿気をとるのも容易です。さらに北面も開放的につくると、より風通しの良い家になります。
深い庇にするためには、建物の周囲にその分の空地が必要ですし、さらに南北の窓を開けておける状況にするには南北に隣地との緩衝帯(庭)が必要です。つまり、敷地が十分広いときに限ってできることです。逆に言うと、このようなデザインの家にすることは、広い敷地条件を存分に活かすことになります。

愛知県の軒の深い木造住宅

↑ 敷地が164坪の住宅の設計例です。間口が広く軒も深いので大屋根になり、水平ラインが強調されたおおらかな印象の住宅です。
ご要望により地元産の三州瓦を使っています。地産地消を取り入れると、より伝統工法のデザインに近寄ります。「和風」はただの様式と思われがちですが、日本の風土と生産システムから生まれた自然なデザインのこと、とみた方が本質を捉えられると思います。

太い柱と梁の木造住宅

↑ 瓦屋根での深い庇と大きなスパン・荒壁用の貫(ぬき)と筋交の併用などの事情から、太めの柱・梁を使った骨太の架構になっています。これらを隠そうとすると、屋根がとても厚くなり格好悪いので、架構をあらわしたデザインにしています。
架構を美しく見せるには、梁をできるだけ均等な間隔で入れ、さらに梁の位置と平面計画を一致させます。デザインと平面計画と構造計画は、切り離せない関係ですので、同時進行で考えていきます。梁などの構造部材を均等間隔で入れることは、美しさだけではなく、構造的な合理でもあります。

北庭のある木造住宅

↑ 南だけではなく北にも庭などの空きスペースを設け、大きな窓をつけると風通しの良い家になります。そのために北側隣地から4m位離して建物を建てています。

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4.敷地に応じて

残念ながら上記のような広い敷地はあまり一般的ではありません。都市部を中心に片流れ屋根の箱型の住宅が増えているのは、敷地条件からくる必然のデザインでもあります。建物の周囲をあまり空けることができないので庇をなくし、屋根が小さい時は片流れにする方が自然です。

片流れ屋根の箱型の木造住宅 屋上テラス

↑ 敷地が36坪の住宅の設計例です。
庇を出すと敷地に収まらなくなるので箱型のシルエットにしています。それでも南側だけは、窓面を窪ませる形で深い庇を付け、開放的な大きな窓で外とつながっています。大きな庭はつくれませんが、屋外の緑や空を眺められるように工夫し、気持ちよく暮らしています。
庇がない部分の外壁は、耐候性のあるガルバリウム鋼板をお勧めすることが多いのですが、この家ではメンテナンス上の問題について十分なご理解がありましたので、ご要望に沿って左官塗り仕上にしています。

2階リビングの木造住宅

↑ 敷地が75坪の住宅の設計例です。
南道路の敷地は日当たりはよいのですが、プライバシーを確保しにくいのが難点です。小さな庭の時は塀で囲ってしまうのですが、ある程度大きな庭を高い塀で囲うことは、外構工事費が過大になったり地域の雰囲気にそぐわなかったりします。この住宅では2階にLDKをつくることで、通りからの視線を気にしないで開放的に暮らせるようにしています。2階をリビングにすると1階は壁の多い個室になり、構造的に良いプランになりやすいというメリットもあります。
深い軒で守られる部分の外壁は板張り、雨の掛かりやすい妻面には耐候性のある瓦を貼っています。

コートハウスの木造住宅

↑ 敷地が105坪の住宅の設計例です。
十分広い敷地ですが、建ぺい率や高さ制限が厳しく、庇のない北下がりの片流れ屋根という形状はそのことから決まっています。
また南北に長いこの敷地はコートハウスに適しています。プライバシーが確保されているので、中庭に対し開放的に開いたLDKにすることができました。そして窓の多い中庭面だけには庇を付け、日差しや雨から開口部を守っています。

このように敷地の特性は住宅のプランやデザインに大きなな影響を及ぼします。

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5.架構あらわしの家と大壁の家

蒼生舎で設計している木造住宅は、「架構をあらわした家」と「大壁の家」があるのですが、これらははっきり分かれているのではなく、両方の要素を部分的に取りいれたデザインのことも多くあります。

= 架構あらわしの家 =

木造の上棟時の姿を、いつもきれいだなと思って見ています。この架構(柱や梁などの構造部材)だけで既に美しいところが木造建築の豊かさで、それをデザインに残したものが架構あらわしのデザインです。
以下のようなケースに向いています。

架構あらわしデザインの木造住宅

↑ 柱も梁も見えている架構あらわしデザインの住宅です。

化粧根太と化粧垂木の家

↑ 正面の壁は柱をかくした「大壁」ですが、根太(床を支える部材)と垂木(屋根を支える部材)をあらわしにしています。スッキリした漆喰塗の白壁に、陰影とボリューム感をもつ木の天井を組み合わせたデザインです。

= 大壁の家 =

大壁の家は、柱や梁を覆うように壁や天井を仕上げます。とても一般的な工法で、最近の新築住宅は殆ど「大壁の家」です。
以下のようなケースに向いています。

木造大壁のインテリア

↑ 大壁のインテリアです。モダンでスッキリした印象です。

木造大壁のインテリア

↑ 大壁のインテリアです。木は仕上材や建具として使っています。材木の種類や色目にこだわりがあり、特定の樹種やきれいな材だけに絞って使いたい場合は、このような使い方が適しています。

= 架構あらわしの家と大壁の家の工事費 =

架構あらわしの家と大壁の家の工事費を単純比較すると、大壁の家の方があまり施工手間が掛からないので少し安くなります。
ところが蒼生舎での過去の設計例を見る限り、「大壁の家」が安いとは限りません。仕上や建具などに使用する材木の樹種にこだわられる方に対して「大壁の家」を提案することが多いからだと思います。木を多く見せるかどうかよりも、樹種にこだわるかどうかの方が工事費への影響が大きいといえます。

蒼生舎に木造住宅の設計をご依頼下さる方は、木がお好きな方がとても多いです。しかし写真や材料見本をお見せして話をお伺いしていくと、「木全般が好き」という木をこよなく愛する方と、「特定樹種の木が好き」というこだわりの方に、お好みが分かれます。
材木は樹種と材の程度(節や木目など)によって大きく値段が変わる素材です。
(材木の単価は1立方メートルあたりの値段でいうことが多いのですが、数万円/m³から100万円以上/m³のものまで、大きな幅があります。)
したがって、ご希望をお伺いするだけではなく、ご予算と絡めて検討する必要があります。

① 全般的に木のことがとても好きな方には

→ 「架構あらわし」のデザインを提案することが多いです。

② 高額の樹種や良材にこだわりがある方で、
ご予算に余裕がある場合は

→ ご希望の木を内装に使った
「大壁の家」の提案が多いです。

※ 材木にこだわった「架構あらわし」の家は、こだわりの程度によってはとても費用がかかります。例えば、材料にこだわってつくる茶室や数寄屋住宅は、坪単価で200万円/坪以上かかるものも多く、一般住宅向きではありません。

③ 樹種や無節などのお好みはあっても、
工事費は抑えたい場合は

→ 木をあまり使わないデザインにするか、
樹種にこだわるのをやめて木は使うことを優先するか、
のどちらが良いかをお伺いして進めます。

上記は、分かりやすくするための大まかなお話です。敷地条件によるところも大きいので実際には個々の事情に合わせて検討していきます。また工事費に影響する要因は他にも沢山あり、材木はその中の一つでしかありません。
それでも、デザインの方向性に大きく影響する部分であり、プラニングにもかかわりますので、基本設計の初期段階で検討していきます。

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6.構造とプラン

木造在来工法では、プラニング(部屋の間取りをきめること)や架構は構造設計と直結しています。壁の配置はそのまま耐力壁の配置となり、床組や小屋組の方法によって床剛性や屋根剛性が決まります。
耐力壁の量・バランスの良い配置・1階と2階の壁の重なり具合を意識しながらプラニングすることが構造計画上重要なことです。
蒼生舎では木造2階建て以下の場合は、壁量計算・水平倍率・偏芯のチェックで構造設計を行っています。もしご要望があれば許容応力度計算も対応しますが、その場合は構造設計事務所(構造設計だけを専門に行っている設計事務所)に外部委託しますので、設計監理料が「構造計算あり」に該当します。
木造の構造部材は比較的安価ですし、重量も軽いので仮に過剰に入れても構造負荷を増大させる心配はありません。(配置バランスを崩してまで余分に入れるのは、かえって良くない場合もあります。)
そのため効果と費用を総合的に考えると、壁量計算などで構造設計をして、耐力壁量や部材断面に十分余力をみておく方法がよいのでは、と考えています。

木造住宅のステンレスブレースの耐力壁

↑ 大きな窓は作りたいのですが耐力壁のための壁も必要で、これはプラニングの時のジレンマです。そういう場合、ステンレスブレースを使って窓と耐力壁を同時に確保することもあります。

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7.基本仕様

建築は本来、一品生産のフルオーダーでつくられます。しかし大量に建設される住宅については規格化がかなり進み、住宅会社がそれぞれの標準仕様を持つことが多くなりました。そんな中でもフルオーダーで住宅を建てたいと思われる方々が、設計事務所にご依頼下さっています。
構造材や下地・断熱などの基本仕様は、施工会社が自社の施工体制に合わせて自由に決めるのではなく、設計図に指示された内容で見積もりをし、工事契約をし、施工されます。

建築の部材は非常に多くの種類があり、その価格に幅もあります。少し余分にお金をかけるだけで効果的なものもあれば、性能は向上するけれどもその程度を考えると高額過ぎると思われるものもあります。予算は有限ですので、1つのことに過剰にお金をかけるのではなく全体を見てバランスよく決めていく方が良いと思います。
また、具体的に細かく指定した方が良い部分と、自由度をもたせて施工会社に安くなる工夫をしてもらう方が良い部分の使い分けも必要です。

建築主の方には分かりにくい部分ですので通常は、建築主の嗜好・予算・計画の内容を考慮した上でこちらで判断したものを提案させていただいています。また必要に応じて建築主のご意向を確認することもあります。
こういう部分まで自由に決められるのが設計事務所と一緒に家をつくることの特徴の一つですので、ご要望があればおっしゃって下さい。(但し、その有用性やコストバランスに問題が多いと思われるものについては、再考をお願いすることもあります。)

蒼生舎で近年比較的多く採用している仕様やバリエーションについて、下記で具体的に御紹介させていただきます。

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8.基礎

基礎や地盤改良については、ご要望ではなく必要に応じて決まります。特別な事情がない限り、ベタ基礎・基礎パッキン工法としています。これは近年の木造住宅の一般的な工法で、ほとんどの新築住宅で採用されていると思います。
地盤調査の結果、地盤強度が低い場合は、ベタ基礎の下に地盤改良工事が必要になります。木造は建物重量が軽いので基礎の負担も小さく、余程のことがない限り地盤改良工事で対応できます。固い地盤面(支持層)の深さ・建物の規模により、地盤改良工事の工法・施工深さ・施工箇所数などが変わりますが、費用は概ね数十万円程です。RC造の地業工事(地盤改良工事や杭打ちのこと)が数百万円程かかることを考えると、基礎の負担が少ないことは木造のメリットです。

木造住宅の基礎工事

↑ べた基礎の配筋工事です。底盤の鉄筋径やピッチは建物の重さやプランによって変わります。地中梁のピッチが大きいと底盤の鉄筋は多く必要で、逆に地中梁が細かく入っている時は、底盤の鉄筋はそれほど多く必要ありません。
右の写真のコンクリートの直上にある黒い部分が基礎パッキンです。空気が抜けるようになっており、床下通気はここで確保するのが最近の工法です。

木造住宅の地盤改良工事

↑ 地盤改良工事。柱状改良工事(深層混合処理工法)の施工例です。直径600ミリの改良体を支持層まで施工します。固化材と土を混ぜているところです。

木造住宅の鋼管杭基礎

↑ 杭基礎のときの工事中の写真です。まれに木造でも杭基礎になることがあります。この敷地には非常に厚い盛土がされており、地盤改良工事では対応できない深さに支持層がありました。不整形プランの計画でしたので、地盤改良なしのベタ基礎では不同沈下の心配があり、杭基礎を選択することになりました。
木造は建物重量が軽いのでRC造の場合のような太い杭ではなく細めの鋼管杭になります。費用はRC造の杭工事程にはかかりませんが、地盤改良工事よりはかかってしまいます。(右下の写真が鋼管杭です。この時使ったものは直径165ミリ×長さ8mです。)

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9.木構造材

= 柱 =

土台・柱は国産の桧無垢材を使用しています。幸いなことに愛知県は近くに桧の良材の産地(産地指定はしていませんが、岐阜の東濃桧の柱材を仕入れている施工会社が多いようです。)があるので、これを利用するのがよいと思っています。芯持ち材の4寸角を使うことが多いですが、長さが3mの管柱だと1本4000円程度と、林業をされている方には申し訳ないくらいの値段です。たしかに和室に使われる無節柾目の桧無垢材は高級材ですが、節があっても構わない構造柱は、決して高価なものではありません。桧の耐久性や防蟻性を考えると、むしろお得な材料だと思います。

木造の桧の柱材

↑ 4寸、4寸5分、5寸の3種類の太さの桧柱です。通常、無垢の桧柱は芯持ち材(腐りにくい芯の赤身部分のこと)を使い、表面の乾燥収縮ひび割れを防ぐために背割りという切り込みを入れます。東濃桧はわずかにピンクを帯びた、きれいな木肌の木です。

在来工法の柱は軸力しか負担しないことになっているので、一般的な長さの柱であれば3寸5分角(105ミリ角)でもよいのですが、2000年の法改正で構造金物がたくさん付くようになった頃からは、ワンサイズ上の4寸角(120ミリ角)を主に使っています。断面サイズに余裕がある方が構造金物同士の干渉を避けてきちんと施工しやすくなります。また、長い柱や太い梁が必要な計画にすることが多いのも、柱を少し太くしている理由の一つです。

木造の構造金物

↑ 今の木造在来工法は、構造金物がたくさん付きます。柱や梁幅の寸法に余裕があれば、ビス打ちが材木の端にくることを避けられます。この住宅では筋交も通常より少し太いサイズ(桧の45ミリ×120ミリ)を使っています。

= 梁 =

梁は輸入の米松を主に使用しています。蒼生舎では広い部屋を設計することが多いので、梁には曲げ強度やヤング係数の高い松を使いたいと思っています。昔から梁によく使われていた地松(国産の赤松)は、湾曲した材が多く、今は流通量も少ないので、使いやすい米松を使っています。梁も国産材を使いたいとのご要望がある時は杉を使うこともありますが、杉は米松より強度が低いためその分大きなサイズにしたり、大きなスパン(柱と柱の間隔)にならないような平面計画にする必要があります。地松を使う場合は、その湾曲した形を活かし、丸太 又は 太鼓落しの形状で使っており、使い方は限定されます。

木造の米松の梁材

↑ 米松の梁材です。手刻み加工の住宅でしたので、お施主さんと一緒に大工の加工場へ見に行きました。右の材は同じ米松ですが、化粧材(仕上に見える材)だけカスケード材という木目の細かい米松を使いました。少し値段は上がりますが見た目も少しきれいになります。

= 無垢材 =

構造材には無垢材を使用しています。ただサイズ的に無垢材では困難 又は 非常に高価になってしまうときには、そこだけ集成材を使うこともあります。
在来工法は伝統工法の流れをくんでいる工法なので、構造用合板以外の構造材は無垢材を使いたいと思っています。無垢の構造材は特に高価なわけでもなく、今は乾燥材が主流なので、それほど扱いに困るものでもないと思っています。
近年は省力化のために内壁の横胴縁(壁下地材)を省略する工法が増え、そのために無垢材の柱が避けられているようですが、下地にひと手間かける方がより丁寧な仕事です。特に漆喰や珪藻土などの左官仕上や塗装仕上の場合は、横胴縁を施工してしっかりした下地をつくった方が良いと思っています。

木造住宅の内装壁下地

↑ 塗装仕上のときの内装壁下地の作り方です。(左)45~50cm間隔で間柱が縦に入っているので、それに直交させて横胴縁を30cm間隔に施工します。(中央)石膏ボードを貼ってビス留します。(右)ボードの継目をジョイントテープで補強してからパテ処理をします。
塗装仕上はきれいな仕上ですが、ビニールクロスと比べるとクラック(ひび割れ)が入りやすいので、下地には気を使わなければなりません。細かい間隔で下地を入れることでクラックが入りにくくなります。

= 構造材の加工 =

構造材の加工方法は2通りありますが、近年の一般的工法は殆どプレカット加工によります。

  1. プレカット
    工場で機械加工、プレファブリケーション
  2. 手刻み
    大工さんが一つ一つ手で刻むもの

蒼生舎では通常は加工方法の指定をしませんので、プレカットをメインにし機械加工できない部分だけに手加工を加えているケースが多いです。プレカットで対応できない部分が多い設計のときや、建築主からのご要望があるときに限って手刻みにしています。最近は手刻みができる大工が減ってしまい、逆にプレカット工場の対応力が上がってきたので、手刻みはあまり採用しなくなってきています。

※ 手刻みができる技量と、設計事務所と協同できる柔軟性を併せ持つ大工の人数は限られています。「手刻み」の指定をご希望される場合は、施工会社の選択が限定されること、工事費と工期が余分にかかること、大工の手配の都合で着工時期を調整する可能性があること等について、ご理解下さるようお願いしています。
メリットとしては、化粧材(仕上で隠さない構造材)が多いとき、熟練の大工が材料の個体差を一本ずつ見ながら、柱や梁の使う向きや配置を決めてくれます。

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10.防蟻処理

シロアリ対策としてはホウ酸塩を使用する防蟻(ぼうぎ)処理を指定しています。農薬系の薬ほどの強い殺虫力はないのですが、揮発性ではないので効果が持続することと安全性の高さからこちらを採用しています。基準では、土台や柱に桧などを使えば防蟻処理を省略できることになっていますが、それでも防蟻処理はした方がよいと考えています。桧は比較的シロアリに食べられにくいというだけで、食べないということではありません。

木造住宅の防蟻工事

↑ 透明の液体を散布している防蟻工事の様子です。さらに湿気やすい水廻りの床下のみ、棒状の固形のもの(写真ではその端部が白い丸として見えています。)を埋め込んでいます。

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11.断熱

断熱材は、屋根と外壁にはポリエステル綿 又は 高性能グラスウール、1階床下にはポリエステル綿 又は フェノールフォーム、玄関土間下には防蟻スタイロフォーム、を主に使用しています。厚みは断熱等性能等級4をベースに、状況に応じて加算しています。ご要望がありましたら他のものでも対応できます。

木造住宅で下地に使う遮熱透湿防風シート

↑ 屋根の通気層と断熱材の間に遮熱性のある透湿防風シートを張っています。片面が白色、片面がシルバーのシートで、シルバー面を外側にして張ります。最上階の暑さ対策にはこういう方法も有効です。この住宅では外壁下地にも同じシートを使っています。

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12.仕様の自由度とデザイン

注文住宅、自由設計、フルオーダーなどの言葉を用いて、好きな家を自由に建てられることが語られていますが、実際はその「自由」の程度は様々あります。間取りと仕上の色柄は自由になるけれども他はほぼ決まっているものから、かなり自由度の高いものまで、幅広く自由設計と呼ばれています。この「自由」の程度について誤解があるとトラブルにもつながりますので、ご自身の望まれる丁度良い自由度を選ぶ必要があります。

家へのこだわり度合は人によって千差万別ですので、高い自由度が全ての方にとってメリットということでもありません。量産や自由度の低さは生産システムの効率化でもあり、費用を抑えることにつながっています。多数の方が好まれる方向性や価値観を反映させながら住宅の規格化は進んできました。規格化された住宅や建材が、メーカーが違っても雰囲気が似てしまうのは、量産のためには多数派の好みに合わせてつくる必要があるからだと思います。そして好みのものが安く手に入ることは、建築主にとっても好都合です。

しかし中には、そういう多数派の志向に合わせたものが、しっくりこない方もいらっしゃいます。「自分なりのデザインの好みがある」、「こだわりポイントが他人とは違う」、「みんなが欲しがるものではなく、自分の望むものが欲しい」など、残念ながら量産・規格化の恩恵を受けられない方々です。そういう方の家づくりには設計事務所が適していると思います。
設計事務所には、「自社の生産システムの枠内で設計しなければならない」という縛りがありませんので、提案の幅を広げて考えることができます。

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