souseisha architectural design studio

古材や古建具の再利用

「建て替え前の家の古材を、新しい家で使いたい」というお話はしばしば出るご要望です。家族で過ごしてきた思い出の家を壊してしまう寂しさや、その家を建てられた両親や祖父母に対する想い、などからそういう気持ちになられるのだと思います。
そして実際に再利用したケースと、再利用しなかったケースの両方があるのですが、その判断基準についてお話ししようと思います。

  1. 余分に費用がかかってでも再利用したいと思っている。
  2. 新しい家での使い道があること。

この両方を満たすときに再利用を検討しており、そうでない場合はあまりお勧めしていません。古材の再利用はコストダウンになると思われがちですが、実際はほとんどの場合コストアップになります。通常は重機を使って解体をするのですが、古材を採りたい時は大工が手仕事で外しながら壊すため解体工事費が高くなります。さらに外した材料を運搬し、倉庫で保管し、クリーニングやカンナをかけてきれいにするのにも費用がかかります。そのため「もったいないから使いたい」という理由のときは断念することが多く、「思い入れ」で残したいときに再利用しています。

1.構造材

古材利用というと柱や梁を再利用すると考えられる方が多いと思いますが、構造材は一番利用しにくい材料です。新材の構造材が比較的安価なこともあり古材利用のコスト負担も大きくなります。

古材の丸太梁を使った住宅

↑ 蒼生舎では建替え工事で構造材を再利用した例は今のところなく、これは古材を購入して使った設計例です。古材・古建具・古い家具などが好きな建築主の方が、それらにこだわって建てられた住宅です。滋賀県の古材店で間取りに合う梁材を組み合わせてもらって購入しています。このような材料はプレカット(工場で機械加工すること)では対応できないので、丸太の手刻み加工ができる大工に入ってもらう必要があります。

2.造作材

古い住宅では、良質な造作材は和室(客間)に使われていることが多いので、再利用するときも和室に再利用することが多くなります。

古材を使った和室

↑ 実家を取り壊したときの古材を長い間保管されており、それらを再利用した和室です。造作材と建具を随所に再利用しています。

古材を使った茶室

↑ 床框と落し掛けが古材です。手先が器用な建築主の方で、おじいさんの家が解体される前にご自分で取り外して保管されていたものです。茶室をつくったので、そこで使っています。

3.建具

最も利用しやすいのが建具類です。手で簡単に外せるので解体工事時の負担がありません。ただそのままですと昔の建具は背が低いので、部材を継ぎ足してサイズ調整してから使うことが多いです。

建具金物も再利用できます。
例えばフスマの新品の引手は、通常は数百円~千円位のものを使いますが、ちょっと良いものを選ぶと数万円/1個することもあります。粋なこだわり方なのですが、値段が高いのでなかなか使えません。もし凝った作りの物や遊び心のある面白そうな建具金物をお持ちでしたら、再利用する価値はあると思います。

古建具を加工した家具

↑ 古建具の一部を利用して家具の引戸に作り直しました。竪格子の一本一本に名栗(なぐり)加工がしてある手の込んだもので、とても趣があります。右下の写真が加工前の古建具です。

4.瓦や石材

古い瓦は庭に再利用することができます。瓦全てを割らないように外そうと思うと解体工事費が高くなりますので、実際には鬼瓦など主要な瓦のみを利用する方が現実的です。

瓦を使った庭

↑ この写真は古瓦ではなく、譲ってもらった焼き損じの瓦を沢山お持ちでしたので、それを利用した時のものです。

大谷石の敷石

↑ 塀に使っていた大谷石が老朽化して危険な状況でしたので、外して敷石に再利用しました。


Page
Top

Copyright © souseisha architectural design studio All Rights Reserved.